ぴかまく公論 「いま、表面処理で出来ること」とは?

2011 年 6 月 3 日

 

倉敷ボーリング機工株式会社

経営企画室 田尻亮人

 

 昨今、省エネ家電が売れているそうです。夏場の電力不足の懸念から、古く性能の劣るものから、新しく、性能の優れたしかも省エネルギーでもある家電に買い換えることで、電力消費量をいくらかでも低減しようということのようです。震災にあった方々のことを思い多くの方が自粛したために消費傾向が鈍化していると言われる中で、一筋の明るい話題だと思います。

 製造業にとっても、電力不足は深刻な問題です。対策として考えられることは家庭の話と通じるものがあると思います。現在、産業界で検討されているものは、稼働時間や休日の変更による電力需要の平準化で、例えば自動車業界では土日を出勤とし、週の中程で休日とする方法を実施する方針が出されました。

 このような状況の中で、われわれ表面処理業者として何が出来るのか、どの様な貢献が出来るのか考えてみました。

 表面処理は、物質の表面を改質したり、他の物質を付加したりすることで元の材料とは別の性質を表面に与えるものです。めっきであれば、材料に電気を流すことでめっき浴につけた材料表面に金属を成膜することが出来ますし、当社の得意な溶射であれば、母材の上に金属、セラミックスやサーメットを吹きつけ、耐食性や耐摩耗性、電気絶縁性などといった様々な機能を付加することが出来ます。

 このような表面処理を活用すると、例えば古くなった回転設備に対して摺動特性を回復・向上させることで製品寿命の延長を図ったり、あるいは新規設備に対して優れた耐食性や耐摩耗性といった性能を付与したりすることで、設備自体の効率の向上ひいては消費電力の削減に寄与出来ます。また、輸送機械などでは、鉄鋼材料で作られた部品を軽金属で作り替え表面処理を施すことで、もとの強さを維持したまま軽量化をすることも可能です。こうすることで輸送時の消費電力を削減できます。

 

 自粛ムードが広がり経済活動自体が落ち込むと、日本全体の景気か落ちていくのではないかと危惧しています。今のように沈滞した雰囲気だからこそ、上記のように多少なりとも社会に貢献しているのだという前向きな気持ちをもって、企業活動を活発に行っていくことが必要なのだと思います。

 

 

 

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