ぴかまく公論 アルマイトについて その2

2010 年 11 月 14 日

S・E・P技研株式会社
中西顕郎


前回、アルマイト加工の基本について記載させていただきました。
アルマイトは強制的にアルミの表面を酸化させ、固くしたり耐腐食性を向上させたりする機能的な表面処理をいいます。表面処理は通常母材の影響を受けやすく、アルマイトも例外ではありません。
そこで、今回は材料とナノホールに対する影響について解説します。(ホールインワンほど難しい話ではありません…)

 例えばアルミニウム。
純アルミ等の添加物が少ないアルミでは、均一できれいな皮膜が形成されやすくなります。一方、アルミダイキャストやジュラルミンといった、シリコンや銅などの添加物が多く入ってくると、アルミに表面に均一な皮膜が得られなかったり、きれいな表面が得られなかったりするなど処理が困難となります。
このような皮膜を生成し難い材料であっても、表面に欠陥の少ないアルマイト層を形成させるための研究が進んでおり、様々な方法が行われています。
また、一般的にアルマイト処理は硫酸浴で処理されますが、より耐蝕性、耐摩耗性の高い皮膜が必要な場合はシュウ酸浴、前回もちょっと触れましたナノホールの大きさを大きくしようとした場合はリン酸浴を使用したりします。


日本アルミニウム協会 「アルミの基礎知識より」
http://www.aluminum.or.jp/basic/index.html

 
ナノホールを大きくしようとするのは、より硬度の低い皮膜が必要であったり、このホールに他の物質を埋め込み、色や他の機能を持たせるためであったりします。
また、クロム酸浴を使用した場合は、より欠陥の少ない皮膜の形成ができますが、日本では排水等の問題もあり、実際にクロム酸浴を使用するのは航空機関係の部品に対するものが主であり、一般的にはあまり使われなくなっています。また、航空機関係の部品も、耐蝕性や耐久性、剛性等の問題もあり、アルミの使用量自体が減少しつつあると言われています。
処理液の浴組成によりナノホールの孔径、孔の形状等が変化するため、用途に応じて処理を使い分ける必要があります。

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