ぴかまく公論 海外進出(中国編‐1)

2012 年 7 月 5 日

 株式会社ナガト 内田弘之

 

 昨年1月、建設機械メーカーの新年互例会の席で取引先機械加工メーカーの社長より「中国に進出する気はないですか?」と聞かれた。

 日本のメーカーは中国をはじめとした東南アジアへ進出し、現地化の名のもとに日本からどんどん仕事が海外へ流出しており、このまま国内で生産を続けてもじり貧になっていく恐れがある。かといって海外進出には大きなリスクも負わなければならない。

 私は覚悟を決めて「中国進出に向けて準備を始めます」と答えた。

 それから、広い中国の中でも日系企業が多数集積している長江デルタ地区に的を絞って調査を開始し、数回の中国訪問ののち昨年10月江蘇省無錫市に賃借料は若干割高にはなるが、総投資額を抑える為にレンタル工場(約1000㎡)を借りることとした。

 20129月頃の操業開始を目指して、客先との打ち合わせを行い、熱処理設備(高周波焼入れ機)や周辺機器、検査機器も発注した。

 ところが、レンタル工場の賃貸借契約内容を確認したところ、受電能力を弊社希望通りにするには追加工事が必要で、莫大な費用と工期がかかることが判明、契約をいったん白紙に戻し、再度レンタル工場を探すこととなった。

 前回より範囲を広げより多くの工業団地に問い合わせた結果、幸い同じ無錫市内の違う開発区に約1200㎡受電能力も満足できる物件があり今年2月に正式契約を締結した。

 最初の調査段階では他の会社が使用していた工場だったが、規模縮小の為数ヶ月前に空いた物件でうまいタイミングで見つかり、運よく借りることが出来た。

 その後、専門のコンサルタント会社に委託し書類の作成・提出を行い、開発区の協力も得て511日会社設立が完了し、長門金属熱処理(無錫)有限公司が誕生した。

続きは中国の熱処理事情も含めて次回パート2で報告いたします。

記事一覧