ぴかまく公論 「限りある資源を大切に 〝錆から守る〟」

2011 年 10 月 20 日
㈱日本パーカーライジング 広島工場
吉村 和夫
 
【赤錆を黒錆に転換するパーカー防食塗料 TRIC(トリック)】
 

設備や構造物の機能性や外観などの維持は永年の課題です。錆の進行が進めば構造物の交換や建て替えなど悩みは尽きません。そこで、今回は発想を転換?から生まれた製品、錆転換型の防食塗料、その名も「トリック・シリーズ」を紹介します。

最大の特徴は
 ・錆落とし ケレン作業の簡素化による作業軽減
 ・赤錆を黒錆に転換させる機能性
なのです。
 
従来、鋼構造物の防食塗装については完全な素地調整が必要でした。しかし、それは現場塗装に於いて、技術的・経済的に困難なことです。このケレン作業の改善にお役に立てないか…。
そこで、パーカでは2~3種ケレン程度の素地調整作業まで行い、錆止めできる方法を突き止めたのです。
それが、錆転換型の防食塗料(プライマー) TRIC(トリック)です。
トリックは錆層に強力に浸透し、固着化させ、不安定な赤錆を安定な黒錆へ転換させることで、優れた防食効果を発揮します。
 
その性能の一端を見ていただきましょう。
屋外暴露後の錆断面の写真を示します。錆断面を見ると錆転換型の防食塗料であることがよくわかります。
 
■一般錆面塗料

他メーカーは、塗膜下に新たに錆が発生し、積層の悪質錆が多くなっています。  

 

 
 
 
 
 
■錆転換型の防食塗料 トリック 1000

トリック 1000は、塗膜下の悪質錆が少なく、良質錆が増え、地鉄に密着しています。

 
 
 
 
 
 
 ■施工実績事例
ここでトリックを用いた施工実績事例を紹介しましょう。
施工前は錆が発生しています。施工前に素地調整をします。ケレン2~3種程度に錆、劣化塗膜を除去し、 鋼面を露出させます。 くぼみや供給部分には、 さびや旧塗膜が残存する程度で構いません。施工はプライマーにトリック1000、上塗りにはパーペインU(ウレタン二液)塗料を塗布しています。
 (左:施工前 中:素地調整後 右:施工後)
  
 
トリック・シリーズは現在4つを発売しております。お使いの用途に合わせてご活用ください。
なお、現行のプライマーは溶剤系が主流であるため、パーカでは、作業性良好でかつ環境に配慮した一液性の水系錆転換プライマー(トリックW)を来年度発売予定です。
 
製品名 主成分&塗布量(g/㎡) 特長 および 用途の箇所
トリック 1000  溶剤型一液性
 
エポキシ系

 300g/
 (1層塗り)

 ・トリックの基本塗料。一液性で作業性が良い
 
・錆面の素地調整は2~3種ケレンとする
 
・修復面の残存下地塗料の種類により、リフティング要注意
 
・溶融亜鉛めっき上にも塗装可能であるが、白錆無きこと
 
・SUS304にも塗装可能
 
・専用シンナー必要
トリック 1000Z    溶剤型特殊
 セメント入り2成分性
 エポキシ系

 250g/
(1層塗り)

 ・トリック1000に特殊パウダーを添加した塗料
 
・1層塗りで厚膜塗装が容易
 
・施工性(50μm、吹付け、ローラー、刷毛施工可能)
 
・性能:鉛筆硬度3~4H
          防錆力大
          接着強度>3.0N/mm

トリック 1100  溶剤型二液性
 エポキシ系

 240g/
(2層塗り)
・旧塗膜が残存している鋼材の錆面に適用
 
・上塗り塗料との相性が良好
 
・SUS304に塗装可能 ・溶融亜鉛めっき面には適用不可
 
・希釈液不要
トリック 1200  無溶剤型二液性
 エポキシ系

 200g/
 (1層塗り)

 ・端末部、隅角部等のケレン困難箇所への専用塗料
 
・ベランダ手摺り、階段ササラ部、支柱とコンクリートスラブ
の取り合い地際部の隙間に充填し施工

 ・二液性にて混合後早めの充填塗布要。硬化は1~2日要
 
・充填後、塗膜にタックが残るが、上塗り塗装可能

 
【引用】日本パーカライジング(株)加工事業本部カタログ
※ ご使用に際して
・施工した後の塗装面に、何らかの要因でできた傷等への防食効果はありません。再塗装が必要です。
・トリックは錆転換型エポキシ系下塗りプライマーです。塗装面は耐候性のある上塗り塗料等で仕上げてください。

 

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