ぴかまく公論 「歩く」

2011 年 7 月 13 日

 オーエム産業株式会社 難波

 
 昨年12月からよく歩いている。
 

 思い立ったのはおだやかな陽気だった東京で、東京駅前で午後一番にあった打ち合わせが早めに終わったので、オーエム産業が展示会をしていた浜松町まで東京駅から歩いてみた。NHK大河ドラマの龍馬伝を見ていて、龍馬は土佐から大坂、土佐から江戸までも何度も歩いて往復していたんだなと思ったのがきっかけだ。パソコンも入った重たいカバンを提げて、12月だというのに汗だくになって歩いた。東京駅からはとバス乗り場の横を抜け、銀座を横断し、汐留から山手線に沿って浜松町まで。

 この日以来、早朝に運動公園などご近所さんを歩いたり、自宅から出張時に岡山駅まで、岡山市内の会合先のホテルや食事場所まで、オーエム産業本社(岡山市野田)まで歩いたり、東京駅からオーエム機器の営業所がある茅場町まで、東武金崎駅から栃木工場まで、その他にも出張先のホテルのまわりをぐるりと歩いたり、観光地(や飲み屋街)があればその辺りまでなど歩いている。たまに写真も撮る。時間にすると、30分から1時間程度である。
 
 もともと自転車が好きで乗っているが、風が冷たくきつい日はやはり気が乗らない。そうこうしていると数ヵ月も乗らなかったりする。歩くのは、風もあまり気にならず、この時期なら汗もそんなにかかず、気持ちがいいものだ。実は、親父が毎日歩いているので、マネをするみたいでいやだと思っていたこともあったが、やってみるとそう思う。
 自転車も、街の匂いや季節の変化、こんなところがあったんだとか感じられて楽しい。自転車に比べると“歩く”のは、行動範囲は狭いけど、自転車以上に感じることがある。気になるお店など気軽にそっとのぞいてみることもできる。自転車は“浅く広く”で、歩くのは“狭く深く”といった感じ。
 車や自転車に乗っていると、安全など“気をつけること”がけっこうある。都度判断が必要だし、何かに気をとられると危ない。一方、“歩く”のにはそれほどない。
 
 歩き始めてみると、人間には歩くリズムが合っていると思うようになってきた。足の裏が刺激されるからか、考え事もすっきりまとまってくるような気がする。なんがかとても“楽(タノシイ、ラク、気持ちいい・・・)”なのである。
 飛行機や新幹線、自動車など自分の力以上の速度で移動できる乗り物があるが、疲れる。出張などの移動で疲れるのは、時間ではなく移動距離のような気がする。移動距離が長ければ長いほど、自分が住んでいる街との匂いの違い、気候の違い、言葉の違い、考え方の違い、文化の違いが大きくなるからかなと思う。インターネットによって、空間と時間も飛び越えられるようになったが、現実世界との違いは大きくて、うわべだけならいいが、どっぷり浸かるとやはり疲れるような気がする。
 そう考えると、自分が生活する、歩いて行ける範囲の地元で、生活のすべてができると幸せかなと思う。年をとったら、歩いて行ける範囲で生活できたらいいなと思う。
 
 今年の僕の書き初めは「おおらか」だ。心を広くなどの想いもあるが、生活ではゆっくりゆっくりと思っている。毎日きちんと歩こうなどとは思っていない。ウォーキングのように歩幅や腕の振りにも気をつけていない。時間があれば“できるだけ歩こう”である。いつまでも“いつでも歩ける”体でいたい。
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