ぴかまく公論 「ラオス見て歩き」

2011 年 6 月 26 日

 

 株式会社 ナガト

取締役社長 内田弘之

 

 悠久の大河メコンやそこに流れ込む支流、連なる山々といった豊かな自然に恵まれたラオスは内陸地であり、人口・産業も少なく発展の魅力が少ないことから過去の歴史においも外国の侵略も少なく、異文化との交流もあまりありませんでした。

 ラオス経済は鉱物資源の輸出やメコン川を利用した水力発電の電力輸出や、縫製品、農産物の輸出から成り立っており、米の生産量は年間約300万トンで主食のもち米が約80%を占めており、米の国内需給率は達成しています。

一人当たりのGDPが1000ドルに満たないのに、想像していた以上に人々の生活が豊かなのは農作物が豊富で食べ物には困らないためのようです。

 南部のボロベン高原は標高が高く、気候が穏やかで土壌の水はけが良く適度な湿気があり、土地が平らで開墾しやすく、土壌の汚染が進んでいないためコーヒー豆の栽培に適しています。また国が税収の為に外国企業に農地を貸出(社会主義の為国が土地を所有している)しており、広大な土地で農作物(アスパラ、インゲン豆、オクラ)を生産し、日本へも輸出されています。

 しかし農業以外では産業が少なく、工業製品は生活用品を含めてすべてタイや近隣国からの輸入に頼っています。進出企業は工場建設資材や原材料も輸入しなければならず、メリットはタイの4割程度の人件費だけです。

しかしながら『稲を植えるのがベトナム人、稲が育つのを眺めるのがカンボジア人、そして稲を育つ音を聞いているのがラオス人』という国民性で、働くことにあまり意欲がなく工業的な勤労には不慣れで生産性が低く定着率が悪いため、外資企業にとっては進出しづらい要因の1つになっているようですが、

 私たち日本人が物にあふれ時間と仕事に追われ、人間とは何かを忘れて生きているからそう感じるのであって、ラオス人はあまり周囲や細かい事を気にせず、ストレスを感じずにのんびり暮らしていく事を幸せと考えているようで、子供たちが道路や家の周りで群れ遊ぶ状況が40年前の日本とよく似ており、願わくば国が発展してもこの自然と優しい国民性は失わないでほしいと思います。

経済発展の背景にはその国や地域に住む人の生活に大きな変化があり、多くの人にとっては必ずしも望んでいる事ではなく、幸せな事ではないかもしれない。

本当の幸せとは何かを今一度考えてみる必要があると思わせる国ラオスに是非一度訪問されては如何でしょうか。

   

写真:上左 ラオスの中学校での放課後の風景

    上右 郊外の国道沿いの鍛冶屋(農業用の刃物直売所) この中で鍛錬を行っている

    下  フランスパンや野菜、果物が並ぶ市場

記事一覧